分離唱という言葉

 分離唱とは、読んで字の如く、和音から一つの音を分離してうたうという意味です。
教師が和音(例えば、「C、E、G」。ドイツ音名です。「ツェーゲー」という具合に発音します。)を弾きます。
 そして、和音の中の一つ、例えば「E」を出すように指示します。生徒は和音を聴き、その中からそれを分けてE音をうたいます。初めのうちまたは、よくわからない生徒に対しては教師がピアノを弾きながらE音を範唱すると良いでしょう。

 次には指示する音を変えたり、弾く和音を変えてあらゆる和音・あらゆる音と瞬時にハーモニー出来るように耳を訓練していきます。

 生徒は自分で声を出しながら聴いていると自分の声がピアノの和音の響き中に溶け込んで消えていくような感じがします。この状態にあることを『耳をひらく』といいます。

この体験により、和音(ハーモニー)感覚が耳に復活してくるのです。

 ・・・・形の上ではこれが分離唱のすべてです。

※ 佐々木基之先生の著書に『耳をひらく』というものがあります。
この本は分離唱の誕生した由来とともに、分離唱の意義そして実際の分離唱の方法に至るまで詳しく説明されています。出版当初、優良図書との選定を受けましたが今では絶版となり、古本か図書館で探すほかありません。

耳をひらく

 話だけ聞くと何とも簡単で、しかも素晴らしい結果が得られる訓練方法かと思われるでしょう。しかし、これがどういうわけか普及しない。何故でしょう? このことなども含めて、『分離唱』ページ本体ではお話ししていきたいと思います。